ノミネート発表の時期になると、「なぜBillboard上位のあのメガヒット曲が入っていないのか」「なぜこの曲が選ばれたのか」という疑問がネット上で飛び交います。この選考の乖離や噂の背景には、音楽業界特有の構造と歴史的経緯が存在します。
まず挙げられるのが、「エントリー制・許諾制」の実情です。レコード大賞は主催側が一方的に選定・授与する形式ではなく、レコード会社や所属事務所の同意・エントリーを前提として審査が進められます。そのため、アーティスト側が賞レースへの参加を希望しない場合、どれほど社会現象化したヒット曲であっても優秀作品賞のリストに並ぶことはありません。
過去には、賞レースの過熱化や審査の透明性に対する疑念から、賞レース自体から距離を置くスタンスをとったトップアーティストが複数存在します。ジャニーズ事務所(現STARTO ENTERTAINMENT)が1990年を最後に長年ノミネートを辞退し続けた歴史や、B'z、福山雅治、宇多田ヒカルといったメガヒットホルダーが辞退や特別賞対応にとどまった事例はその代表格です。
さらに、近年はBillboard JAPANの複合チャートやストリーミング総再生数がヒットの可視化基準となったことで、選考委員会が重視する「幅広い世代への浸透度」や「歌唱審査」とのギャップが浮き彫りになるケースも散見されます。ネットの反応では「世間とのズレ」を指摘する厳しい声があがる一方、生演奏・生歌唱のフルオーケストラステージで見せる圧倒的なパフォーマンスが再評価される契機にもなっています。