彼が最後に挑んでいたのが、フジテレビ系月9ドラマ『カインとアベル』での祖父役だった。威厳に満ちたその演技は、作品の背骨となっていた。しかし、第2話の放送を終えた直後、彼は帰らぬ人となる。
代役には急遽、寺尾聰が起用された。現場の混乱は極限に達していたが、平が遺した演技のクオリティがあまりにも高かったため、スタッフや共演者たちは涙をこらえながら撮影を続けたという。2026年の今、当時の制作スタッフはこう振り返る。「平さんの存在感は圧倒的だった。彼が現場から消えた時の喪失感は、言葉では言い表せない」と。