現地を訪れる観光客や歴史ファンの体験も、デジタル技術の進化によって劇的な変貌を遂げている。佐賀県と研究機関が共同開発した「デジタルツイン吉野ケ里」プロジェクトでは、レーザースキャンとLiDAR技術で計測した遺跡全域の3Dデータを基に、弥生時代の集落をリアルタイムでシミュレーション。
来園者がARグラスを装着して園内を歩くと、見張り櫓(やぐら)の上に立つ戦士たちの息遣いや、高床倉庫での穀物搬入の喧騒、主祭殿で行われていたとされる祭祀の厳かな情景が目の前に立ち現れる。AIが当時の気象データや出土した植物花粉データを解析し、古代の風音や植物の群生具合まで精巧に再現。単に展示品を眺める時代から、二千年前の「空気感」を全身で体感する時代へと移り変わった。