取材班が平日の午前中および夕刻に現地を観察したところ、参拝者の行動パターンには際立った特徴が見られました。一般的な観光地化された寺社と異なり、境内での滞在時間は1人あたり5分から10分程度と比較的短く、私語を慎みながら真剣に手を合わせる参拝者が大半を占めています。
ネット上の口コミやSNS、参拝記録コミュニティに寄せられたリアルな声を検証すると、以下のような実情が浮かび上がります。
「渋谷での大事な商談前、必ず立ち寄って鳥居をくぐり心を整えている。向かいの金王八幡宮で武運と勝運を祈り、豊栄稲荷で人の縁と事業の発展を願うのが自分なりのルーティン」(30代・IT企業経営者)
「千本鳥居の写真を見て訪れたが、想像以上に空気が澄んでいて驚いた。社殿前でお参りしたあと、向かいの社務所でいただいた豊栄稲荷神社の御朱印は、きつねの印が可愛らしくて大切に保管している」(20代・会社員女性)
境内に一歩足を踏み入れると、朱色の鳥居がトンネルのように参道を覆い、外の世界と境界線を引くかのような構造になっています。この空間構造が、都市生活で疲弊した意識を瞬時に切り替え、自分自身と向き合う時間を作り出している様子が伺えます。