さらに時計の針を戻すと、1984年から2004年までは新渡戸稲造が五千円札の肖像だった。『武士道』を英語で著し、国際連盟の事務次長も務めた彼は、まさに「太平洋の架け橋」たる国際人だった。しかし、なぜ彼は紙幣から姿を消したのだろうか。
そこには、財務省や日本銀行が求める「偽造防止」の観点と、時代が求める「新しいリーダー像」の乖離があった。新渡戸の時代は国際協調がテーマだったが、21世紀に入り、より内発的な社会変革や教育の重要性が叫ばれるようになった。その結果、より具体的なアクションを起こした教育者たちが選ばれる傾向が強まったのだ。