東京グランギニョルを語る上で欠かせないのが、漫画界の鬼才たちとの深い結びつきです。劇団の宣伝美術やポスターを手がけたのは、アングラ・エログロ表現の最高峰である漫画家・丸尾末広氏でした。丸尾氏が描いた冷酷で妖艶な少年少女のビジュアルは、劇団のアイデンティティそのものとして機能し、劇団の人気を視覚面から強烈に牽引しました。
そして、当時まだ多感な青年だった漫画家・古屋兎丸氏は、実際に東京グランギニョルの客席にいた熱狂的なファンの一人でした。あの暗闇の中で目撃した『ライチ光クラブ』の衝撃を忘れることができなかった古屋氏は、劇団解散から約20年が経過した2005年、飴屋法水氏の許諾を得て同作を漫画化します。
古屋氏の手によって新たな命を吹き込まれたコミック版『ライチ☆光クラブ』は爆発的なヒットを記録し、舞台化やアニメ化、実写映画化へと波及しました。80年代の地下劇場で生まれた過激な実験劇は、時空を超えて21世紀の若い世代をも虜にし、現在へと続く一大カルチャーへと昇華したのです。