週末の深夜、渋谷の雑居ビルの地下スペースや、高架下のコンクリート広場には異様な光景が広がっている。スピーカーから流れるファンクやヒップホップ、時にはノイズミュージックに合わせて、即興で円(サイファー)が作られる。年齢も国籍もバラバラな人々が、次々と円の中心に飛び出していく。
ここにはヒエラルキーはない。プロのトップダンサーも、昨日ダンスを始めたばかりの初心者も、同じ円の中で対等に向き合う。言葉が通じなくても、ステップ一つで互いのバックグラウンドを理解し合える。この圧倒的な身体的コミュニケーションの場が、SNSのテキストコミュニケーションに疲弊した現代人の避難所として機能しているのだ。