お山巡りの道中には、心身を揺さぶる体験スポットや息をのむ絶景ポイントが計算されたかのように配置されています。
奥社奉拝所の「おもかる石」に見る参拝者の心理
千本鳥居を抜けた先にある奥社奉拝所の右手には、有名な「おもかる石」と呼ばれる一対の石灯籠があります。灯籠の前で願い事を念じ、宝珠(頭部の丸い石)を持ち上げた際に「予想していたより軽ければ願いが叶い、重ければ叶い難い」という試し石です。
取材時にも「思ったよりずっしりと重くて持ち上がらない!」「気合を入れたらスッと持ち上がった」と一喜一憂する参拝者の声が飛び交っていました。この素朴な占いは、古くから民衆が神仏と個人的な対話を交わすための重要な儀礼として機能してきた歴史を持っています。
難所を越えた先のご褒美「四ツ辻」と老舗「にしむら亭」
奥社から鬱蒼とした杉木立と急な石段を登り続けると、突如として視界が開ける分岐点「四ツ辻」に到達します。ここは稲荷山登拝における最大の休憩拠点であり、眼下には京都南部の街並みから遠く南西の山並みまでが一望できる大パノラマの絶景が広がります。
四ツ辻の角に佇むのが、創業150年以上の歴史を誇る名茶屋「にしむら亭」です。俳優・西村和彦氏の実家としても知られるこの茶屋では、名物の冷やしぜんざいやソフトクリーム、うどんなどを味わいながら、窓越しに広がる古都の景色を堪能できます。急勾配の階段で疲弊した足腰を休める参拝者にとって、まさにオアシスのような存在です。