この分散戦略が一気に本格化したのは、2009年8月に日本武道館で開催された『AKB104選抜メンバー組閣祭り』だった。コンサートの最終日、サプライズとして主要メンバーの個人事務所への仮契約・移籍が一挙にアナウンスされたのである。
ステージ上で泣き崩れるメンバーやどよめくファンの姿は今も語り継がれているが、この決断こそがAKB48黄金期の幕開けとなった。各芸能事務所にとっても、すでに劇場公演や選抜総選挙でファンコミュニティを確立している有望株を獲得できるメリットは大きく、業界全体を巻き込んだ一大ムーブメントへと発展していった。
その後も研究生から正規メンバーへの昇格や選抜入りを契機に、順次スカウトや移籍打診が行われるシステムが定着。グループ全体が巨大な「タレントの見本市」として機能する構造が完成した。