ホンビノス貝について最も多く耳にするのが「砂抜きをしなくていい」という言説です。結論から言うと、砂を吐かせるための長時間の砂抜きは基本的に不要です。アサリのように砂泥の中に深く潜る生態ではなく、砂を吸い込みにくい構造をしているため、体内に砂をほとんど溜め込みません。
しかし、ここで注意すべき落とし穴があります。砂抜きは不要でも、「殻の洗浄」と「塩抜き」の下処理を省くのは厳禁です。ホンビノス貝は殻の溝に細かな泥汚れが付着しやすく、体内に塩分濃度の高い海水をたっぷり保持しています。そのまま調理すると料理全体が泥臭くなったり、塩辛くなりすぎて食べられなくなる失敗が頻発します。
調理前には、まず貝同士をこすり合わせるようにタワシや流水で殻の溝をゴシゴシと力強く洗います。その後、真水(または1%未満の極めて薄い塩水)に1〜2時間程度浸けておくことで、体内の過剰な塩分を適度に吐き出させることができます。このひと手間をかけるだけで、仕上がりの味のバランスが劇的に整います。