外国籍の生活保護はなぜ可能?最高裁判決と2026年最新データの実態

外国籍の生活保護はなぜ可能?最高裁判決と2026年最新データの実態

外国籍の生活保護はなぜ可能?最高裁判決と2026年最新データの実態とは一体何なのか? 詳しい意味を丁寧に紐解いて紹介します。

外国籍住民が生活保護を受けられる根拠を探る上で、まず直面するのが「憲法と法律の文言」と「実際の行政運用」の間にある法的なギャップです。憲法第25条第1項には「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」と記されており、これを受けて制定された生活保護法第1条でも、保護の目的は「困窮するすべての国民」を対象にすると明確に規定されています。文理上、外国籍の住民は法律上の直接的な保護対象に含まれていません。

にもかかわらず現在も支給が行われている法的根拠は、1954年(昭和29年)5月8日に出された厚生省社会局長通知(社発第382号「生活に困窮する外国人に対する生活保護の措置について」)にあります。当時の日本には、戦前・戦中の歴史的経緯により日本本土に留まり、サンフランシスコ平和条約発効に伴って日本国籍を離脱することになった多数の在日朝鮮人・台湾人が居住していました。彼らの生活破綻を放置すれば深刻な人道問題や治安悪化を招くおそれがあったため、国は「生活に困窮する外国人に対しては、当分の間、生活保護法を準用して一般国民に対する取扱いに準じた保護を実施する」という行政通達を発したのです。

この運用に対して決定的な司法判断が下されたのが、2014年(平成26年)7月18日の最高裁判所第二小法廷判決でした。大分市に住む永住資格を持つ外国籍女性が生活保護申請を却下されたことを不服として提訴した裁判において、最高裁は「外国人は生活保護法が定める『国民』に含まれず、同法に基づく保護を受ける権利を有しない」と判示しました。つまり、憲法や法律を根拠として国に「保護をよこせ」と法的に請求する権利(主観的権利)は存在しないと明確に否定されたわけです。

ここで多くの人が誤解しがちなのが、「最高裁が外国人の生活保護を違法と判断した」という解釈です。最高裁が示した判断の要旨は「法律上の受給権がないため、申請却下処分に対して行政不服審査請求などの不服申立ては法的にできない」という点にあります。地方自治体が自らの行政裁量に基づき、人道上の観点から「恵与的な措置」として保護費を支給すること(事実上の準用措置)自体を「違法であり直ちに停止せよ」と命じたわけではありません。そのため、判決後も厚生労働省は従来の通知に基づく行政運用を維持し続けており、これが2026年現在も外国籍の困窮者に保護が適用されている法的な舞台裏となっています。

橋本 菜々子
Author

橋本 菜々子

グルメと旅を愛するフリーライター。全国各地の隠れた魅力を独自の視点から紹介します。