かつてない勢いで崩壊しつつあるのが、東西冷戦期を経て構築されてきた国際安全保障の秩序だ。核保有国間の対峙が深刻化する中、核抑止論そのものが持つ危うさが露呈している。抑止の破綻が即座に無制限の核戦争へと発展しかねない現実に、世界は震えている。
危機を煽っているのは核兵器の存在だけではない。極超音速兵器の開発競走や自律型致死兵器システム(LAWS)の実用化など、軍事技術の先端化が意思決定の時間を極限まで削ぎ落としている。何かの誤認やシステムの誤作動が、人類を滅亡へと追い込む不可逆なスイッチを押し兼ねない。抑止力という名の不調和が、国際社会の基盤を揺るがし続けている。