本体が異常に熱くなった際、即効性を求めて「ケーキ用の保冷剤を当てる」「冷蔵庫や冷凍庫に入れる」といった行動を取るユーザーが後を絶ちません。しかし、これらはハードウェアエンジニアや修理技術者が口を揃えて絶対に避けるべきNG行為として警告しています。
その理由は、急激な温度低下によって端末内部の空気に含まれる水蒸気が水滴へと変わる「内部結露」にあります。現代のスマートフォンは高い防塵・防水規格(IP68など)を備えていますが、これは外部からの水の侵入を防ぐものであり、密閉された内部空間自体の湿度までゼロにするものではありません。熱せられた基板を外側から急冷すると、基板表面や微細な電子回路の上に直接水滴が発生します。
内部結露が発生した場合、水没させた覚えがないにもかかわらず、通電中の基板がショートして完全故障に至る事例が修理現場で頻発しています。さらに、結露水が微細な配線を酸化・腐食させ、数週間から数カ月後に突然起動不能に陥る「遅延故障」の温床にもなります。故障診断時に内部の水没シールが反応し、メーカー保証の対象外となるケースも多いため、いかなる理由があっても急激な冷却を行ってはなりません。