アリとキリギリスは、1994年にお笑いコンビとして結成されました。身長158cmと小柄で理知的な石井正則氏と、185cmの長身でどこか哀愁漂う石塚義之氏。この約27cmの身長差を活かしたビジュアルインパクトはもちろん、彼らの真骨頂は演劇的で構成力の高いシチュエーションコントにありました。
フジテレビ系『タモリのSuperボキャブラ天国』をはじめとするボキャブラシリーズへの出演により、爆笑問題やネプチューン、海砂利水魚(現・くりぃむしちゅー)らとともに「ボキャブラ世代」の旗手として瞬く間に若者の支持を獲得します。言葉遊びにとどまらない演技派コントは、同業者や演劇関係者からも高く評価されていました。
コンビの運命を大きく変える転機が訪れたのは1999年のことです。脚本家・三谷幸喜氏の目に留まった石井正則氏が、田村正和氏主演のメガヒットドラマ『古畑任三郎』(第3シリーズ)において、エリートかつ生真面目な若手刑事・西園寺守役に大抜擢されました。この配役が見事にハマり、石井氏の卓越した演技力はお茶の間に強烈な印象を刻み込みます。この成功を皮切りに、石井氏は情報番組の司会やドラマへの単独出演が急増していきました。