「欲しかったのは、物じゃなくて、あの頃の自分なんです」。こう語るのは、都内で活動する60代の昭和おもちゃコレクターだ。彼は定年を機に、少年時代に憧れながら買えなかったブリキのロボットを専門に収集し始めた。所有数は2026年時点で200点を超え、総額は優に1,000万円を超えるという。しかし、本人の表情に投資家としての気負いはない。「箱を開ける時のあの油の匂いが、全部を連れてくる」と穏やかに笑う。
一方、買取市場の現場はよりシビアだ。都内の老舗買取店スタッフによると、持ち込まれる品の約6割は「親の遺品整理」で出てくるケースだという。「“こんな古いおもちゃ、捨てようかと思った”と仰る方が多いですが、査定して価格を伝えると驚かれます。特に昭和おもちゃの高価買取が成立する条件は、箱と説明書が残っているかどうか。本体だけでは価値が半減以下になることも珍しくありません」と明かす。
ネット上の反応も加熱している。5ちゃんねるのレトロ玩具板では「昭和のおもちゃって、なんであんなに完成度が高いんだ」「今の食玩よりよっぽど作り込みがすごい」といった職人技への称賛と、「実家から出てきた超合金、鑑定団に出したら予想の3倍の値段が付いた」という報告スレッドが定期的に立つ。知恵袋では「祖父の遺品のブリキ人形の価値が知りたい」という質問に対し、複数の専門家アカウントが具体的な製造年代や刻印の見分け方をアドバイスするなど、コミュニティ全体の知識水準が底上げされている。