原作第1081話において、長年伏せられていた「10番船船長」の正体が元海軍大将クザン(青キジ)であることが公に描かれ、世界中の読者に激震が走りました。海軍の最高戦力として「だらけきった正義」を掲げていた男が、なぜ世界最悪の海賊集団門下に下ったのか。その深層には、単純な悪への転落ではない綿密な心理的・戦略的力学が存在します。
発端は、元帥の座を巡るパンクハザードでのサカズキ(赤犬)との10日間に及ぶ死闘でした。敗北し片足を失ったクザンは海軍を脱退。新世界の酒場でティーチ一行と遭遇した際、当初は一触即発の凍結騒動に発展したものの、酒を酌み交わす中でティーチが放った一言がクザンの心を動かしました。
「海賊ってのはよ……利害が一致してりゃあいいんだよ!」
海軍という巨大組織の「絶対的正義」に縛られ、オハラの悲劇や政府の闇に苦悩し続けてきたクザンにとって、ティーチの掲げる「目的のためのドライな共犯関係」は、皮肉にも己の目的を果たすための自由な隠れ蓑となったのです。海軍の枠組みでは決して辿り着けない「空白の100年」の真実や、世界政府の根底にある歪みを暴くため、あえて最も危険な劇薬と手を組んだと推察されます。
さらに海賊島ハチノスにおける師・モンキー・D・ガープとの直接対決では、激しい覇気の衝突の末に「アイスグローブ」を叩き込み、師弟の情を断ち切ってでも黒ひげ海賊団としての立場を全うする冷徹な覚悟を見せつけました。彼が真の信奉者なのか、それとも独自の目的を果たすための潜入者なのか――最終章における最大のキーマンであることは間違いありません。