二部式着物に対しては「着付けが一切不要」「誰でも着られる」といった過度に楽観的なイメージが広がっているが、これは正確ではない。確かに着付け時間は短縮できるが、衿元の美しさや帯の位置、全体のシルエットを整えるためには、最低限の知識と練習が必要だ。特に、衿の抜き加減や帯の高さは、着姿の完成度を大きく左右する。二部式だからといって完全に何もしなくていいわけではなく、「簡略化された着付け」であると理解するのが正しい。
また、素材についても誤解が多い。二部式着物の多くは洗えるポリエステルだが、「自宅で洗える」ことと「型崩れしない」ことは別問題だ。洗濯表示を確認せずに洗濯機で強い水流にかけると、縫い目がほつれたり、衿芯が変形したりするリスクがある。きもの物語の解説にもあるように、手洗いまたは洗濯ネットを使用した弱水流での洗濯が基本であり、乾燥機の使用は避けるべきだ。お手入れの手軽さを謳う商品でも、取り扱い表示を無視すれば寿命を縮めることになる。
さらに、着用シーンに関する誤解もある。「二部式着物=仕事着」という古い固定観念は、2026年現在ではすでに過去のものになりつつある。日常のおしゃれ着として着る人、茶道や華道の稽古着として使う人、旅行先での和装体験に選ぶ人など、用途は確実に広がっている。ただし、だからといって「どこでも着ていい」わけではない。前述の通り、フォーマル度の見極めは必要だ。カジュアルな集まりや趣味の場では十分魅力的だが、格式の求められる場では従来の着物を選ぶ判断も重要になる。