この語をめぐっては、いくつかの誤解が定着している。まず「黄色い声援=アイドル文化とともに生まれた新しい言葉」という認識は誤りだ。前述の通り、語源は江戸時代の芸能文化にあり、1970〜80年代のアイドルブームは「再活性化」であって「誕生」ではない。
次に「英語で言うとyellow cheer」という俗説も散見されるが、これは明確に誤りである。英語のyellowには声の高さを示す意味はなく、英語圏では「yellow」と声を結びつける共感覚的表現は一般的ではない。正しくはshrill cheers(甲高い歓声)やhigh-pitched screams(高音の叫び)が対応する。
さらに「黄色は古代中国の皇帝の色であり、高貴な声援を意味する」というネット言説も根拠が薄弱だ。日本語の色彩表現における「黄色い」は、むしろ「黄色い声」のほかに「黄色い悲鳴」という派生表現もあり、いずれも「高く鋭い音」という音響的特徴に由来する。権威や高貴さとの結びつきは確認できない。