ネット上で最も拡散しているのが「卵の成分が納豆キナーゼの働きを阻害する」「生卵と混ぜると納豆の効能が消える」という言説だ。結論から述べると、これは誤解に近い。納豆キナーゼは納豆菌が産生する酵素タンパク質であり、たんぱく質分解酵素として血栓溶解や血流改善に寄与するとされる。卵白・卵黄にこの酵素を失活させる特異的な阻害物質は確認されておらず、食品化学の観点からも「混ぜた瞬間に無力化される」事象は考えにくい。
ただし、条件付きで注意が必要だ。納豆キナーゼは50℃以上の加熱で変性・失活する。つまり、「生卵を落としてレンジで温める」「熱々のご飯に混ぜて放置する」といった行為こそ、せっかくの酵素活性を落とす要因になる。卵を混ぜることそのものより、温度管理こそが本質的な論点なのだ。2026年時点でも納豆メーカー各社の公式Q&Aでは「加熱を避け、常温〜40℃以下での摂取を推奨」とする記述が統一見解となっている。