近代日本の都市計画において日本初の「洋風近代式公園」として誕生した日比谷公園。そのシンボルとして設計された日比谷松本楼は、単なる飲食店を超えた「近代市民文化の発祥地」としての重みを持っています。明治時代、「松本楼でカレーを食べてコーヒーを飲む」スタイルは当時の最先端モダニズムであり、高村光太郎の詩や夏目漱石の小説など数々の文学作品にもその情景が描かれました。
激動の昭和期には関東大震災や戦災を乗り越え、さらには1971年の社会運動激化に伴う放火事件で建物を全焼するという悲劇に見舞われました。しかし、市民の熱い要望と全国からの温かい支援によって見事に再建を果たします。世代を超えて受け継がれる秘伝のデミグラスソースの味わいと、大都会の真ん中にありながら深い木立に包まれる開放的なロケーションが融合し、今なお日比谷公園の洋食レストランとして別格の存在感を放ち続けています。