海外の映画祭や批評家たちが一様に称賛したのは、彼女の演じる人物が纏う「説明しきれない余白」だった。声のトーン、視線の落とし方、わずかな呼吸の乱れ。言葉に頼らない感情の機微を表現させたら、彼女の右に出る者はいない。『ノルウェイの森』での石田玲子役から『ドライブ・マイ・カー』に至るまで、国際的な評価を得る作品で彼女が見せてきたのは、過度な主張を削ぎ落とした「引き算の美学」である。
ハリウッドをはじめとする海外のプロデューサーや監督からも、彼女の佇まいは異彩を放つものとして注視されている。セリフを大声で叫ぶわけでもなく、派手なアクションを見せるわけでもない。ただそこに佇むだけでストーリーの深層を語ってしまう存在感は、まさに映画という媒体が持つ魔法そのものだ。