これまでも身体表現と最新技術の融合は様々な現場で模索されてきた。しかし彼が今期提示したアプローチは、従来の「演出としての映像」という概念を根本から覆すものだ。身体の動きに追従するリアルタイムセンサーが、滑走スピードや回転軸のブレを可視化し、氷上に即興のデジタルアートを描き出していく。
「テクノロジーは感情を届けるための器に過ぎない」という確固たる信念が根底にはある。決してエフェクトの豪華さに逃げることはない。長年培われた圧倒的な体幹、指先一つにまで行き渡る神経、そして音楽の呼吸を捉える鋭敏な感性。それらが強固な基盤として存在するからこそ、最先端の技術が肉体の美しさを極限まで際立たせるのだ。