新基準の低反発金属バットが完全導入されてから3年が経過した。かつてのような「芯を外れてもスタンドへ届く」本塁打は姿を消し、甲子園の戦術論は一変している。
各校が打ち出したのは、徹底した単打の積み重ねと走塁改革だ。セーフティバントの奇襲、エンドラン、そして右打ちでの走者推進。小技を絡めたスモールベースボールが再びスポットライトを浴びる一方で、バッティングそのものの質を問い直す動きも広がっている。
単にボールを打ち上げるのではなく、鋭いライナーで間を抜く「バレルゾーン」の意識。筋力頼みではない身体の使い方を極めた強打者だけが、柵越えのアーチを描く。道具の変化が、結果として打者の技術向上を促すという思わぬ副産物を生み出している。