古内東子という名を刻印づけた最大の代表曲といえば、1996年の「誰より好きなのに」だ。「優しくされると切なくなる」「近くにいるのに遠く感じる」という、誰もが一度は経験する片思いのジレンマ。この曲が2026年代後半の今、Z世代を中心にTikTokやShortsで再び大きな共鳴を広げている現象は非常に興味深い。
タイパや効率が重視される現代社会において、割り切れない想いに悶々ともだえる歌詞の重みが、かえって新鮮に響いているのだろう。カバーアーティストによる短尺動画の発信をきっかけに原曲へと辿り着いた若いリスナーたちは、90年代のアナログな温もりを帯びたアレンジと、削ぎ落とされた言葉の力に驚嘆の声を上げている。