そもそも「スペシャルティ」と呼ばれる珈琲には、厳格な境界線が存在する。米国のSpecialty Coffee Association(SCA)や、国内普及を牽引する日本スペシャルティコーヒー協会(SCAJ)が定める国際カッピング基準において、100点満点中80点以上を獲得したロットだけがその称号を許される。
この極めて狭き門を審査するのが、世界共通の味覚資格を持つQグレーダー(Q Grader)だ。彼らはフレグランス(粉の香り)、アロマ(湯を注いだ後の香り)、酸質の明るさ、クリーンカップ(雑味のなさ)、そして後味の心地よい余韻を冷徹なまでに数値化する。流通する全コーヒー豆のうち、この基準をクリアできるのはわずか数パーセントに過ぎない。
「なんとなく美味しい」を脱し、客観的な品質基準に裏打ちされた豆だけが、カップの中で鮮やかな個性を放つ。あなたが近所の名店で口にするその一口には、国際的なプロフェッショナルたちの厳しい審査を勝ち抜いてきた確固たる理由がある。