村下孝蔵の魅力は、その澄んだ歌声や作詞・作曲センスだけにとどまりません。ギター愛好家やプロミュージシャンが口を揃えて驚嘆するのが、圧倒的なギターテクニックです。
彼の演奏スタイルは、親指でパーカッシブなベースラインを正確に刻みながら、他の指で繊細なアルペジオやコードストロークを同時に奏でるという、極めて難度の高い技法に基づいています。ピアノ調律師として培った鋭敏な音感と、ベンチャーズやチェット・アトキンスを徹底的にコピーして磨き上げたフィンガーピッキング技術が融合し、「アコースティックギター1本でバンド全体のアンサンブルを再現する」という境地に達していました。
スタジオ音源はもちろんのこと、とりわけ村下孝蔵の弾き語りライブ音源をメドレーで聴くと、その真価がダイレクトに伝わってきます。息をのむような速弾きや、力強いカッティングを行いながらも、一切ブレることのない伸びやかなボーカルを乗せるパフォーマンスは、まさに圧巻の一言です。