宿が位置するのは、能登半島国定公園の最北端に突き出た「聖域の岬(珠洲岬)」。日本海を巡る寒流と暖流、そして大地のエネルギーが交錯する日本三大パワースポットの一つとして古くから畏敬を集めてきた特異な地勢である。波しぶきが届くほどの岩礁に湧き出る葭ヶ浦温泉は、戦国時代から脈々と湧き続ける名湯。塩分を豊富に含んだ湯は肌をなめらかに包み込み、体の芯から冷えを取り去る。
海抜ゼロメートルに位置するこの宿では、人工的な防波堤の無機質な景観は一切存在しない。目の前にあるのは、何万年もの歳月をかけて波が刻んだ岩肌と、水平線まで続く濃紺の海だけだ。満潮時には足元まで迫る白波の轟音と、引き潮の時に現れる岩肌の陰影。時間帯によって劇的に表情を変える自然のスペクタクルが、滞在する者の五感を容赦なく研ぎ澄ましていく。