現代の日本の食品産業において、両者は完全に異なるターゲット層に向けて商品開発が行われている。パスタ市場を牽引する日清製粉ウェルナなどの大手メーカーは、本格志向のプレミアムブランドで粗挽き肉と香味野菜を赤ワインでじっくり煮込んだボロネーゼを展開する一方、ファミリー向けの主力ブランドでは玉ねぎの甘みを活かしたマイルドなミートソースを盤石の定番として位置づけている。
日本最大のレシピサービスであるクックパッドの動向を見ても、ユーザーの調理意図の違いは鮮明だ。ミートソースの検索には「子どもが喜ぶ」「ケチャップ」「簡単」「作り置き」といった日常的で実用的なキーワードが並ぶ。対してボロネーゼの検索では「本格」「赤ワイン」「ブロック肉」「煮込み時間」といった、週末のこだわり料理としての検索ワードが目立つ。
コンビニエンスストアや冷凍食品の売場でも、ゴロゴロとした肉塊感を前面に出した高価格帯のボロネーゼと、昔ながらの安心感を訴求する大盛りミートソースが隣り合って並び、見事な共存を果たしている。