検索エンジンの進化は、私たちの生活を劇的に便利にした。しかし、医療情報の分野においては、その便利さが牙を剥く。現在の検索AIは、個人の曖昧な症状を入力するだけで、もっともらしい病名と詳細な解説を瞬時に出力する。その文章はあまりにも論理的で、専門書さながらの説得力を持つため、一般のユーザーが「これは自分のことだ」と錯覚するのも無理はない。
問題は、AIが個人の体質や既往歴、生活習慣を完全に把握しているわけではない点だ。最悪のシナリオを提示しやすいアルゴリズムの特性により、ただの偏頭痛が「脳腫瘍の初期症状」へとすり替わる。画面に表示される冷徹なテキストが、ユーザーの脳内に最悪の恐怖を植え付けるのだ。