官僚のジャーゴン(業界用語)に過ぎなかった言葉が、なぜ一般社会へ溢れ出したのか。その媒介となったのがマスメディア業界だ。政治記者が舞台裏を報じる際、政治家や官僚の肉声をそのまま記事に引用したことが最初の契機だった。NHKスペシャルの政治密着ドキュメンタリーで閣僚が「前広に検討する」と発言する場面が放映され、池上彰がニュース解説番組でその言葉の真意を「決定を先送りしながら準備だけ進める便利な表現」と解説したことで、一気にお茶の間や一般ビジネスパーソンの認知度が高まった。
さらに火をつけたのが、ソーシャル経済メディアのNewsPicksだ。スタートアップ界隈の経営者やコンサルタントが「官僚言葉を使いこなすミドルマネジメントの欺瞞」や「大企業病の象徴」として議論を展開。皮肉にもその批判的なバズによって用語自体の知名度が爆発し、皮肉を込めて使う層と、洗練された言い回しだと誤認して導入する層が入り乱れる事態となった。