彼女の足跡を振り返るうえで、株式会社サイゾーが立ち上げたオカルトニュースサイト「TOCANA」の存在を外すことはできない。編集長に就任した彼女は、科学では説明のつかない怪異や猟奇的な事件、陰謀論を独自の切り口で扱い、瞬く間に同媒体を月間数千万PVを誇るメガサイトへと育て上げた。既存のWebメディア業界や保守的な出版業界が「アクセス稼ぎのキワモノ」と見なすなか、彼女はPV至上主義のさらに先にある大衆の剥き出しの欲望を見据えていた。
規制や自主規制の波が押し寄せる現代メディアにおいて、彼女の編集方針は常に攻めの一手だった。しかし、組織に属する以上、越えられない壁やコンプライアンスの軛は確実に存在する。自らの嗅覚と好奇心を100%解き放つため、彼女は独立という険しい道を選んだ。その決断は、安定した足場を捨ててでも表現の自由度を極限まで高めるという、生粋のノンフィクション作家としての覚悟にほかならなかった。