旅行者が最も頭を悩ませるのが食事選びだろう。多くの人がGoogle マップや食べログのレビューを頼りに店を探すが、高評価の上位店はどうしても観光客で溢れかえり、予約すら困難な状況が日常化している。だが、真の函館の味覚は、アルゴリズムのスコアの陰にこそ隠れている。
駅から大門地区へと続く路地裏に佇む小さな居酒屋では、その日の朝に水揚げされたばかりのイカが、透明感を保ったまま破格の値段で供される。根ボッケの脂の乗り方や、自家製塩辛の深み。観光客向けの派手な盛り付けはないが、店主が目利きした素材の力だけで勝負するこうした隠れ家こそ、地元関係者が夜な夜な集う場所だ。スマートフォンの画面から一度目を離し、地元のタクシー運転手やホテルのスタッフが通う店に飛び込む勇気こそが、旅の満足度を何倍にも引き上げる。