法務省および全国人権擁護委員連合会が主催する「全国中学生人権作文コンテスト」には、毎年数十万編に及ぶ応募が寄せられます。これらの中から文部科学大臣賞や法務大臣賞といった最高峰の賞に選ばれる作品群を分析すると、いくつかの明確な共通点が見えてきます。
1. 「自己正当化」をせず、葛藤を生々しく描いている
上位入賞作品の多くは、最初から「正しい人」として登場しません。「面倒だなと感じてしまった」「怖くて声が出せなかった」という人間の弱さや本音を隠さずに吐露しています。その葛藤があるからこそ、後の気づきに深みと説得力が生まれます。
2. 主語が「私たち」「社会」ではなく「私」になっている
「社会全体で考えるべきだ」といった評論家目線の文章は評価されにくい傾向にあります。「私はこう感じた」「私は明日からこうする」という徹底した「一人称の視点」が貫かれている作品が高く評価されます。
3. 独自の視点や切り口が存在する
同じ障がい者理解や国際交流を扱っていても、入賞作は着眼点がユニークです。「点字ブロックの上に置かれた放置自転車を巡る会話」「祖母の方言に対する周囲の反応」など、誰もが見過ごしがちな些細な瞬間を鋭く捉えています。