山門をくぐった参拝者を最初に迎えるのが、杉本寺を象徴する名物「苔の階段」だ。長年の歳月をかけて鎌倉の湿潤な気候が育んだ石段の苔は、まるで緑の絨毯を敷き詰めたかのような神秘的な光景を作り出している。新緑の季節や雨上がりの朝には、水分を含んだ苔が光を反射し、息をのむほど鮮やかな表情を見せる。
現在、この歴史的価値の高い階段は保護のため通行禁止となっており、参拝者は脇に設けられた男坂・女坂を登るルールだ。だからこそ、階段の下から見上げる構図は完璧なまま保たれており、多くの写真愛好家を魅了してやまない。撮影の際は静寂を乱さず、前後の参拝者と譲り合いながらシャッターを切るのが大人の作法だ。