言語学者の金田一秀穂氏は、こうした言葉の揺らぎについて「言語が生きている証拠」と捉える。日本語学・言語学の視点によれば、漢字の音読みと訓読みが入り混じる日本語において、時代とともに読みが変化することは極めて自然な現象であるという。
「用を達する(タツ)」という漢字の意味に忠実な読み方が、長い年月を経て発音しやすい「たし」へと移り変わり、さらに現代になって文字通りの「たつ」へと回帰していく。一見すると先祖返りのような現象も、人々が文字と音を交差させながら紡いできた日本語のダイナミズムそのものと言えるだろう。