多くの大人が抱く「学校のトイレは汚くて臭い」という記憶には、明確な構造的理由があります。長年、日本の学校建築では床全面に水を撒き、デッキブラシでゴシゴシと擦る「湿式清掃(しっしきせいそう)」が主流でした。この清掃方法は一見清潔に見えますが、コンクリートやタイルの目地に水分が染み込み、カビや雑菌が繁殖する温床となっていました。
湿気と混ざり合った尿の飛沫がアンモニアガスを放ち、あの独特の強烈な悪臭を校舎内に充満させていたのです。また、窓が小さく北側に配置されがちだった旧来の校舎設計も、薄暗さやジメジメ感を助長し、いわゆる「5K」環境を固定化させていました。
現在、抜本的な学校トイレの臭い対策として急速に普及しているのが、水を撒かずにモップや除菌クロスで拭き上げる「乾式清掃(かんしきせいそう)」への移行です。床を常に乾燥状態に保つことで、雑菌の繁殖と悪臭の発生を劇的に抑え、家庭のトイレに近い清潔な衛生環境を維持できるようになっています。