現代のビジネスコミュニケーションにおいて、言葉選びはそのまま当事者意識や誠実さのバロメーターとなる。ここで押さえておくべき極めて重要なビジネスマナーがある。それは、「痛感」という言葉を目上の相手や顧客の心理状態に対して使ってはならないという鉄則だ。
たとえば、取引先がトラブルに見舞われている際に「貴社におかれましても大変さを痛感されていることと存じます」などと述べるのは、重大なマナー違反にあたる。「痛感」には過失や力不足を悔いるニュアンスが潜むため、相手に対して使うと「あなたが自らの未熟さを思い知っている」と皮肉を言っているように響きかねない。
正しい敬語表現として使う場合は、あくまで自分自身を主語に置く。「自身の不徳の致すところを痛感しております」「リスク管理の重要性を痛感いたしました」のように、真摯な反省と今後の改善に向けた決意をセットで伝えるのが洗練された大人のマナーである。