コースの中盤で登場する椀物は、料亭の出汁の腕前と季節感が最も凝縮された、まさに献立の花形といえる存在だ。
椀物の蓋を開ける際は、左手を器の側に軽く添え、右手で蓋のつまみを持ち、静かに持ち上げる。蓋の裏に溜まった水滴が膳の上に落ちないよう、蓋を立ててお椀の中で一瞬水滴を切り、両手を使って蓋を表返しにして膳の右側に置くのが正しい流儀だ。
いただく際は、まず立ち上る芳醇な一番出汁の香りを深く楽しみ、一口吸い物を味わってから、具材とお汁を交互にいただく。蓋を閉める際は、料理が終わった合図として元通りに静かに被せるのが美徳であり、蓋をひっくり返して重ねる行為は漆を傷つけるため厳禁とされる。