超高齢社会において、75歳以上の後期高齢者や80代以上で胃がんと診断される事例は日常的です。高齢者の治療方針を立てる上で最も重視されるのは、暦年齢(実年齢)ではなく、心肺機能や腎機能、認知機能、日常生活動作(ADL)を総合評価した身体予備能です。
近年では、ロボット支援下手術(ダビンチやhinotori等)や腹腔鏡手術の普及により、出血量の低減や術後疼痛の緩和、早期離床が実現しました。低侵襲手術の進化は、これまで開腹手術の侵襲に耐えられなかった高齢患者の手術適応を大幅に広げています。
一方で、過度な拡大手術や副作用の強い多剤併用化学療法が、かえって患者の体力や認知機能を奪うリスクも考慮しなければなりません。主治医や多職種チーム(栄養士、リハビリスタッフ、緩和ケア医)と綿密に相談し、根治性とQOLの維持を天秤にかけた個別化医療の選択が求められます。