大成功を収めた実業家でありながら、安田隆夫氏の若き日の経歴は決してエリート街道と呼べるものではありませんでした。1949年に岐阜県大垣市で生まれた安田氏は、名門・慶應義塾大学法学部を卒業します。しかし、大学時代は学生運動の嵐が吹き荒れる時代であり、学業に打ち込むというよりは雀荘に入り浸る無頼な日々を過ごしていました。
大学卒業後に入社した不動産会社は、オイルショックの煽りを受けてわずか4年で倒産。職を失った安田氏は、蓄えを切り崩しながら麻雀などのギャンブルに明け暮れ、約2年半におよぶ失意のフリーター生活を送ることになります。
社会の底辺をさまよう中で「自らの力で生きていくしかない」と一念発起し、全財産をかき集めて立ち上げたのが前述の「泥棒市場」でした。泥棒市場で得た商売のノウハウを結実させ、1989年に東京都府中市に「ドン・キホーテ」1号店を出店。逆境を糧に変えるハングリー精神こそが、安田氏の原動力となったのです。