ほうれん草を口にした際に感じる独特の不快感、いわゆる「歯のキシキシ感」。この現象は、野菜に含まれる水溶性のシュウ酸が、口内の唾液に含まれるカルシウムと瞬時に反応し、ミクロ単位の不溶性結晶(シュウ酸カルシウム)が歯のエナメル質表面に付着するために生じます。
単なる食感の違和感であれば一時的な問題で済みますが、このシュウ酸が過剰に体内へ吸収されると深刻な健康問題を引き起こします。体内に取り込まれたシュウ酸は血液を通じて腎臓へと運ばれ、尿の中でカルシウムと結合します。この結晶が徐々に肥大化し、尿管を塞ぐ病態が尿路結石(腎臓結石)です。
医療現場において「痛みの王様」とも称される尿路結石は、その8割以上がシュウ酸カルシウムを主成分としています。ほうれん草の食べ過ぎによる症状として、高濃度のシュウ酸を長期にわたって無防備に摂取し続けた場合、背部や下腹部の激痛、血尿といった排尿障害を招く危険性が格段に跳ね上がります。