社会的に「睡眠負債」というフレーズが一気に浸透した大きなきっかけが、かつて話題を呼んだ「NHKスペシャル 睡眠負債プロジェクト」だった。借金のように積み重なる睡眠不足が心身を蝕むという概念は人々の危機感を煽ったが、問題の本質は単に「寝る時間を増やすこと」では解決しなかった。
多くの人が「週末に寝溜めをする」「早くベッドに入る」といった対策をとったものの、結果としてサーカディアンリズム(体内時計)を狂わせ、かえって夜間の睡眠を浅くする悪循環に陥った。ただ時間を延ばすだけでは、脳の深い休息は得られない。重要なのは「眠りの深さ」をどうコントロールするかという質的アプローチへの転換だった。