野田文信氏のキャリアを紐解く上で欠かせないのが、名門・慶應義塾大学医学部での学びと、その後の国際的な研鑽です。慶應義塾大学医学部を卒業後、同大学の精神神経科学教室に入局し、精神医療の基盤となる臨床技術と学術的探究心を徹底的に磨き上げました。
当時の日本の精神医療は国内の標準的治療が中心でしたが、野田氏は早くから視野を海外へと広げていました。カナダのブリティッシュコロンビア大学(UBC)精神科へ留学を果たし、多民族国家であるカナダの先進的な精神保健福祉システムや異文化カウンセリングの現場を肌で体感します。この北米での経験が、のちに野田氏のライフワークとなる「文化とこころの健康」を結びつける決定的な原点となりました。
帰国後は、大学病院や総合病院の精神科において難治性症例の治療にあたる傍ら、学術界でも頭角を現し、臨床医と研究者の両輪でキャリアを確立していきました。