春菊天そばを語る上で避けて通れないのが、その「形状」を巡る熱い議論だ。現在、首都圏のそば店では大きく分けて2つのスタイルがしのぎを削っている。
ひとつは、刻んだ春菊をぎっしりと丸く固めて揚げる「かき揚げ型」。外はカリッと香ばしく、中はフワッとしたボリューム感が特徴だ。つゆに浸すことで少しずつ崩れ、最後まで衣と出汁の一体感を楽しめるのが魅力とされる。
もうひとつは、春菊の葉と茎の形をそのまま残して揚げる「一輪挿し(一枚揚げ)型」。見た目のダイナミックさもさることながら、葉のサクサク感と茎の瑞々しい食感の違いをダイレクトに楽しめる。どちらを選ぶかは、ファンの間でも意見が分かれるところだ。「今日はサクサクを味わいたいから一枚揚げ」「今日はおつゆに馴染ませたいからかき揚げ」といった具合に、その日の気分で店を使い分けるのが通の嗜みとなっている。