韓国における大学修学能力試験(通称:スヌン=修能)は、日本の大学入学共通テストに相当する全国一斉試験ですが、その社会的影響力と緊張感は日本の比ではありません。試験当日は遅刻しそうな受験生をパトカーや白バイが試験場まで緊急搬送し、交通渋滞を防ぐために官公庁や一般企業の出社時間が1時間繰り下げられます。さらに、英語リスニング試験が実施される約35分間は、韓国全土の空港で航空機の離着陸が全面的に禁止される徹底ぶりです。
この異様な熱気を生み出している背景には、韓国の過酷な受験戦争と塾費用の肥大化が存在します。ソウル市江南区の大峙洞(テチドン)に代表される巨大塾街「ハグォン(学院)」には、深夜まで小学生から高校生がひしめき合い、年収数十億円を稼ぐカリスマ「イルタ講師」の講義を求めて親たちが長蛇の列を作ります。韓国統計庁の調査でも、世帯の私教育費支出は過去最高水準を更新し続けており、子供1人あたり月数十万〜100万ウォン以上を塾代に注ぎ込む家庭も珍しくありません。わずか1日のテスト結果で12年間の努力が評価され、人生のコースが振り分けられるプレッシャーは想像を絶するものがあります。