映画『魔女の宅急便』のピュアなイメージから、少女の無垢な旅立ちを歌った曲と思われがちですが、ルージュの伝言の歌詞が持つ本来の意味は、実にユーモラスで大胆な大人の物語です。
物語の主人公は、浮気を繰り返す恋人に制裁を下すべく、バスルームの鏡に口紅(ルージュ)で別れのメッセージを書き残し、列車に乗って「彼のママ」の元へ向かいます。「直接問い詰めるのではなく、相手の母親に叱ってもらう」という意趣返しは、重苦しい修羅場になりがちな浮気トラブルを、どこかファッショナブルで軽妙なコメディへと昇華させています。
ネット上の歌詞解釈やファンの反応でも「大人になって歌詞を読み返して衝撃を受けた」「浮気されたのにここまでキュートで小粋な仕返しができるのが天才的」といった声が絶えません。
なお、このエピソードの着想源については、ユーミンが当時親交の深かったミュージシャンの奔放な女性関係からインスピレーションを得て書き上げたという逸話も語り継がれており、リアルな人間模様を極上のポップスへと変換する卓越したストーリーテリング能力が際立っています。