歴史的な発祥地がトルコであるのに対し、なぜ現代の私たちは「サンタクロースの出身地=フィンランド」と認識しているのでしょうか。その鍵は、北欧の豊かな伝承と20世紀のメディア戦略にあります。
フィンランドでは古くから、北極圏に位置するラップランド地方の険しい山コルヴァトゥントゥリ(Korvatunturi:耳の山)にサンタクロース(現地の言葉でヨウルプッキ)が住んでいると語り継がれてきました。「耳の形をした山」から世界中の子どもたちの願い事を聞いているという伝承です。1927年、フィンランド国営放送のラジオ番組で司会者のマルクス・ラウティオが「サンタクロースの住処はコルヴァトゥントゥリである」と公言したことで、北欧全土にその認識が急速に広まりました。
しかし、コルヴァトゥントゥリは国境沿いの過酷な秘境にあり、一般の人々が訪れることは困難でした。そこで1985年、ラップランドの玄関口であるロヴァニエミ市近郊に「サンタクロース村」が開設されます。現在はこのサンタクロース村に「サンタクロースオフィス」や「サンタクロース中央郵便局」が常設され、年間を通して世界中から届く数十万通もの手紙に返事を送るなど、名実ともにサンタクロースの公認活動拠点として世界的な認知を獲得しています。