映画の撮影において、音楽演奏シーンは通常、手元のアップだけ専門の演奏家に吹き替えてもらうのが定石だ。しかし、パク・ジョンミンはその提案を拒絶した。「顔の表情と手の動きが途切れた瞬間、観客は覚めてしまう」。その一心だった。
共演した大物俳優イ・ビョンホンも、現場で彼の演奏を目の当たりにして絶句したという。リハーサル中、音響スタッフの手を借りず、実際にグランドピアノから流れ出た旋律。カットがかかった瞬間、撮影スタッフから自然と大きな拍手が巻き起こったというエピソードは、彼の執念がいかに本物だったかを物語っている。指先のマメが潰れ、感覚がなくなるまで鍵盤を叩き続けた男の覚悟が、そこにはあった。