作者である荒木飛呂彦の作品世界において、言葉のチョイスには常に独特の美学とシュルレアリスムが同居する。「イチジクのタルト」や「紫陽花」といった視覚的・味覚的イメージの中に、突如投げ込まれる無骨な「カブトムシ」。この非日常的な違和感こそが、読者の無意識に強いインパクトを刻み込む。
漫画出版業界において長年トップを走り続ける集英社の中でも、『ジョジョ』シリーズが放つ存在感は異彩を放つ。荒木氏が描く表現力は、西洋美術や宗教的モチーフを独自に再構築し、怪しくも美しいサスペンスへと昇華させる。カブトムシの反復は、意図的な違和感によって読者を物語の深層心理へと引きずり込む高度な演出技法と言えるだろう。