黒神埋没鳥居が誕生するきっかけとなったのは、1914年(大正3年)1月12日に発生した「桜島大正大噴火」です。20世紀の日本国内で発生した火山噴火としては最大規模を誇り、総噴出量は約30億トンにも達しました。この噴火によって流出した大量の溶岩は海を埋め立て、それまで独立した島であった桜島を対岸の大隅半島と陸続きに変えてしまったほどです。
この激甚災害の直撃を受けたのが、桜島東部に位置する黒神集落でした。集落に鎮座していた「腹五四所神社(はらごしょじんじゃ)」には、高さ約3メートルにおよぶ堂々とした白御影石の鳥居が立っていました。しかし、噴火開始からわずか1日足らずのうちに、降り注いだ火山灰と軽石が約2メートルも堆積。神社の社殿や集落の家々は完全に飲み込まれ、鳥居の上部約1メートルだけが地上に取り残される形となったのです。